昔の「スポーツ」のイメージは無くなり、今や「N-BOX屋さん」と称しても過言ではない状態の自動車メーカー「ホンダ」。
そのホンダが、ご自慢の軽自動車「N-BOX」の安全性を知らせるべく、衝突実験を公開した。
実験用車両は「N-BOX」と「インサイト」。
それぞれ50km/hの速度でオフセット衝突させる実験だ。
(参考)
●「軽自動車では助からない」は本当か?…ホンダがオフセット衝突実験を公開
https://response.jp/article/2019/07/09/324245.html
ちなみに、動画では分からないが、衝突後もドアの開閉には問題がなかったとのこと。
また、ダミー人形のヒザやスネの前にも、手のひらが入るぐらいの空間が確保されていたという。
そういった情報も含めてこの動画を見て、皆さんはどう感じるだろうか?
以下、私が動画を見た感想を述べたいと思う。
結論だけ先に言っておくと、
「軽自動車は、やはり危険だ!」
という感想だ。(^o^;
衝突で押し返される軽自動車(N-BOX)
今の軽自動車は、技術の進歩により昔の軽と比べれば比較にならないほど丈夫になったと思うし、実際に動画のような相対速度100km/hでのオフセット衝突の後でも、ドアが開閉できるし、ドライバーの脚が挟まれたりしないのだから、大したモンだと思う。
それでもやっぱり、「軽い」というのは、どう頑張っても衝突すると不利であることに変わりはないのだ。
動画を見ると、衝突後、軽自動車(N-BOX)は宙に浮き、押し返されていることが分かる。
一方の普通車(インサイト)は、衝突後に一度止まって、その後、軽自動車(N-BOX)を押し込んで少し前に進んでいることが分かる。
どちらがドライバーにかかる衝撃が大きいか、答えは言うまでもないだろう。
軽自動車(N-BOX)は、進行方向に50km/hで進んでいたのが、衝突によって一瞬で進行方向と逆の方向に押し戻されるのだから、この一瞬の間に強烈なマイナスの加速度がかかっていることになる。
普通車(インサイト)も衝突によって一瞬で止まっている(時速0km/h)わけだから相当なマイナスの加速度がかかっていることになるが、逆方向に押し戻されている軽自動車(N-BOX)に比べればだいぶマシである。
この加速度の変化がドライバーにまともにかかってくるわけで、「もし自分がこの軽自動車(N-BOX)に乗ってたら・・・」と想像するとゾッとする。(-_-)
ホンダは軽自動車(N-BOX)の安全性、丈夫さをアピールするために衝突実験を公開したようだが、私には、
「ほらぁ! やっぱり軽自動車は危ない!」
という動画にしか見えない・・・。(^_^;
もちろん、普通車同士の衝突だって、重量の違いによりどちらかが不利になる。
だが、双方の重量の差が大きければ大きいほど不利なのだから、たとえ相手に負けたとしても、少なくとも軽自動車でぶつかるよりはマシである。
逆に言うと、軽自動車は何とぶつかっても常に不利だ。
軽自動車同士の衝突なら、大した不利はないかもしれないが。(^_^;
そんなキレイに衝突しない
今回公開された衝突実験は、ラップ率50%のオフセット衝突だが、実際の事故で、こんなにキレイに50%で真っ直ぐぶつかることは稀だろう。
実際には斜めからぶつかったりして、面ではなく「点」で衝突することも多いはずだ。
そうなると、やはりクラッシャブルゾーンの少ない軽自動車は、生存スペースを確保する上で不安は大きい。
今回の実験では、衝突後、ダミー人形のヒザやスネの前に手のひらが入るぐらいのスペースがあったということだが、逆に言うと、
「この衝突の仕方で、たったそれだけしかスペースが無いの!?
だったら、通常の事故だったら挟まれるんじゃない?」
という考え方もあるだろう。
もちろん、昔の軽自動車ならもっとグシャグシャになっているだろうし、そういう意味では世間の人々が思っているよりも今の軽自動車は頑丈であることをアピールできる映像だとは思うのだが、だからと言って「今の軽自動車は安全」と思わせるところまでは至っていないのではないだろうか。(^_^;
ヤバいのは後席!
衝突実験では、とかくドライバー席の安全確保が注目されがちだが、実際の事故で多いのは正面衝突よりも追突事故。
追突事故とは、停車中のクルマに後続のクルマが突っ込む事故だ。
軽自動車でヤバいのは、追突された時の後席。
車両の寸法を規格ギリギリまで広げているため、箱型で車両後端の形状も真っ直ぐな壁みたいになっているので、後席乗員から外までの距離がメチャクチャ近いのだ。
しかも、最近の軽は後席が驚くほど後方にスライドさせられるようになってたりするので、シートアレンジの状態によっては、さらに後方のスペースが少なくなる。
結論、軽は危ない!
2017年の自動車アセスメントの総合評価で、軽自動車では初となる5つ星を獲得しているというホンダの「N-BOX」。
軽自動車の安全性はどんどん高くなってきているとは言えるのだろうが、だからと言って「軽自動車は安全」と思えるかと言うと、私としてはノーである。
変な例えかもしれないが、こう考えたらどうだろう。
衝突実験って、
- どういう項目の衝突実験を
- どういう条件で
- 衝突後の何をもって安全性を評価するか
ということが事前に分かっている試験なわけだ。
つまり、勉強で例えれば、
- どの科目のどの範囲から
- どんな試験形式で
- どのような採点方式で学力を評価するか
という試験みたいなモンだろう。
学校で試験を受けるとき、みんなはどうする?
試験に出ると分かっている範囲を集中して勉強するよね?
だから試験の前には、試験対策の試験勉強をするわけだ。
でも、ただ単に、
「試験をします」
とだけ言われたらどうする?
どの科目のどの範囲から出題されるのかも分からないような試験を受けて、良い点数が取れるだろうか?
まぁ普通は無理だよね。(^o^;
そういった場合でもそれなりに点数が取れる人は、地頭が良かったり、そもそも知識が豊富な、学力の基礎力が高い人だろう。
試験前の試験勉強だけで乗り切って、試験が終わればキレイさっぱり忘れてるような、低レベルな頭脳の人は、まともな点数は取れないに違いない。(^o^)
何が言いたいか分かるだろうか?
軽自動車って、後者の「低レベルな頭脳の人」だと思うのだ。
つまり、大した能力は無いんだけど、事前に試験の内容は分かっているわけだから、その試験で良い点数が取れるように、そこに特化した強化対策をしよう、と。
そして狙い通り、衝突実験で良い点数を取る、と。
でも、だからと言って、どんな状態で衝突するか分からない公道での事故でも安全かと言えば、それはそうとは限らない、と思うわけだ。
つまり、普通車と軽自動車では、「安全性の地力が違う」と、私は思っている。
だから、いくら軽自動車が衝突実験で良い評価を取ったと言われても、それはあくまでもその実験での安全性でしかない、としか思えない。
というわけで、私は衝突安全性の評価の点数は単なる目安としか思っておらず、クルマ選びの際には全く重視していない。(^o^;
必ずしも、点数の高いクルマのほうが公道でも安全だとは思わない。
試験はあくまでも試験。
「効果的な試験勉強」をした奴が、良い点数を取るのが試験というものだ。
それでも、
「そんなことない!
今の軽自動車は安全だ!」
という人がいるなら、それはそれで構わないし、あえて「それは間違いだ」と断言するつもりもないし、断言するほどの科学的根拠やデータも、私は持ち合わせていない。
ただ、誰が何と言おうと、私は軽自動車を安全だとは思わない。
皆さんが軽自動車の安全性についてどう考えるか。
それは皆さんの自由です。(^_^)
コメント
辛口さんに同意します。
技術の進化に伴って、最近の軽自動車の衝突安全性(試験成績)は、たしかに向上してきています。
が、どんなに頑張っても物理法則は翻せませんから、いつまで経っても“相対的に危険な”乗り物である事は変えられないでしょう。
JNCAPの衝突試験の説明にも、以下のような記載があります。
「衝突速度が非常に速い場合、衝突相手が車体の大きいトラックなどの場合、シートベルトをしていない場合などには、この衝突試験による評価はあてはまりません。また、衝突試験の結果は、試験車の質量が同程度の場合に限り比較が可能です。」
最近は軽自動車にも衝突軽減ブレーキの装備が進んでいると聞きますが、精度はどうなんですかね。
JNCAPには誤作動の評価をしてほしいと強く願う次第です。
誤作動の評価をしないから、高評価を得ようとして安全側に強く振って誤作動させまくってる気がしてなりません。
自分のアイサイト誤作動動画はたまる一方です。
(あくまで証拠残し用なので公開はしてません)
世の中には軽自動車よりはるかに危険なバイクに乗る人も沢山いますからね。
安全性より経済性、利便性って人は多いのでしょう。
軽自動車はあまりにも普及しているので、社用車などで自分が乗らざるを得ない時があるのが厄介ですね。
車もバイクも自転車も乗ってます。
こういった安全性の話に、いきなりバイクや自転車を引き合いに出されるのは、ちょっと違うと思っています。
例えるのが難しいですが、お酒やタバコを嗜む人に、青汁のほうがカラダにいい!と勧めるような感覚でしょうか。
多分それでは会話にならないと思うんですよね(^_^;)
もちろん利便性や経済性で選んで乗る人もいるでしょうが、操る感覚とか動力性能とか開放感とか。趣味的な要素を楽しむ世界もあるんです。
安全性とトレードオフに利便性や経済性を得ているだけじゃないので悪しからず。
高校時代に物理と自動車工学の授業を担当していた恩師から、ボンネットがちゃんとある車に乗れと散々言われましたが、たしかにそうだよなーとは思いますね。
もっと現実味のあるテストができないもんでしょうか?そもそも真っ正面から車が向かってきたら無意識に回避行動取りそうなもんですが。
見た目からして明らかに安全そうじゃないですからね。鋼鉄製で爆発反応装甲でもついてたら別でしょうけど。
実際の事故を見てたら大体軽自動車が可哀想なことになってるわけで、売りたいメーカー側の机上の論理でしかないですね
いつも楽しく拝見しています。
エネルギーは質量に比例していますのでテクノロジーでのカバーは限界があります。
自動車よりは危ないけどバイクや自転車よりは安全と考えれば、軽自動車の安全価値は否定できません。
基準定めずに、同じ道路に、自動車も軽もトラックも走っていることは、危険にさらされているといえます。
他方、コストやサイズなど個々のニーズにあった車が存在して選択できることは素晴らしいことです。
安全性と、豊富な選択肢、どちらが正義なのか、多様な考えがあると思いますし、答えを出すことは不可能と思料します。
このような問題提起につながる辛口様の着眼点は流石でございます。
軽は走る棺桶って言ってる人も多いですよね、、、
考え方に筋が通っていれば良いと思います。
知人は「軽は危ない」と言いつつ、一方でバイクを乗り回して「バイク乗りはいつでも死ぬ覚悟でないと」などと言っているので、
そういう人が言うと説得力無いです。
百歩譲って、車は家族を乗せるので安全性重視というなら理解できるのですが、
件の知人は小学生の息子をタンデムシートに乗せてバイクツーリングしてるそうなので
そう言う人は単に軽を見下す理由にしているだけですね。
検証ではダミー人形にどういうダメージがあったかは公表されてませんね。
あれだけ後方に吹っ飛んだならば、かなり揺さぶられてダメージを受けてると思います。
安全性と経済性や手軽さのどちらを重視するかは個人の自由ですが。
軽自動車の安全性を言い出すと必ずバイクを引き合いに出す人がいますが、全く別の乗り物なので比較の意味が無くて論点をすり替えてるだけです。
すり替えでは無いと思いますよ。
自動車にしろ、バイクにしろ、リスクを取って趣味性を優先するか、安全性を取って趣味性は優先しないか、という考え方になると思います。
リスクを取ってバイクに乗っている人間には、軽の安全性を嘲笑う資格はない、と言うだけです。
軽のパワーの無さは嘲笑って良いと思いますが。
あと、全く別の乗り物とおっしゃってますが、それは機械的に別物と言うだけで、
公道を走って等しく交通ルールが適用される以上は、事故リスク比較の点からは、バイクも軽自動車も普通車もトラックも同じ土俵ですよ。
サーキット走行などの閉じた世界のことを指しているのであれば、おっしゃる通りですが。
辛口系おやじ(管理人)です。
皆さん、コメントありがとうございます。(^_^)
バイクの安全性の話まで出てきましたが、正直、バイクは乗ったことがないのでよく分かりません。(^o^;
バイクは生身をさらけだして乗るわけですし、ライダーを囲うガードが何も無いので、一見危なそうには見えるのですが、軽自動車の危なさとはまた考え方が全く異なりますよね。
私が思うに、バイクの安全性って、ライダーの運動神経や反射神経に依存する部分がかなり大きいと思うんです。
衝突や追突でブッ飛ばされても、例えば体操選手だったりすると、着地で致命的な落ち方はしないと思うんですよね。
だってほら、体操選手って、鉄棒とかで高っい所から落下しても、何事も無かったように受身とってすぐ立ち上がるじゃないですか。(^o^;
でも、ライダーによっては、同じようにブッ飛ばされても死ぬかもしれない、と。
つまり、ある意味では、「体が自由に動けるからこその安全性」、という考え方も出来ると思うんですよね。
軽自動車はバイクよりは安全のようにも思える一方、大して安全でもない車両に体を固定されていて逃げ場がない、という見方もできます。
つまり、安全性の確保を完全に車両の安全性能に委ねなければならない、とも言えるわけです。
それだったら自分次第で何とか出来るかもしれないバイクのほうがマシだ、という考え方も、無くはないかなと。(^o^)
でも、運動神経の悪い奴だったら、軽自動車に乗ってるほうがマシかもしれないし。
まぁそのへんは事故の状況にもよるだろうし、一概に言えない気がします。
散々沢山の方が書かれているように、バイクや自転車と比べるのは違うと思いますが、バイクの方がある意味安全という状況はかなり少ないと思います。
死亡事故に至らなくとも、大怪我のリスクもバイクの方が高いでしょう。
それに、衝突事故でなくとも転倒のリスクもあります。
実際、私の知人は飛び出しから避けて転倒して脊髄損傷で、下半身麻痺になりました。
経済性や趣向性の問題で、安全性だけで乗り物を選ぶわけではないですからね。
だったら、普通車より大型トラック乗りますか?って話ですし、そんなに軽自動車を蔑ろにしなくてもよいと思います。
軽自動車の場合、車体自体の耐久性以上にブレーキ性能だとかトラクションだとかそういう部分の性能の低さの方が気になります。
車体が軽いから下りとかでは飛ばしやすいんでしょうが、雨の日の高速や峠などでカっ飛んでいる軽を見ると、「いや、お前…そんな飛ばせる車じゃないぞ」とか心配してしまいます。
側面からの衝突実験を検証しない辺りからなんらかの意図を感じます。
正面からより側面・後方からの方が後席への衝撃も大きいので側面・後方の安全対策は必須だと思います。
先行車や赤信号など御構い無しにジジババミサイルが飛び交う現代の日本の道路を走るのであれば尚更重要ですよね(笑)
軽自動車は軽いから危険だって理屈なら・・軽いコンパクトカーも同様に批判しないとw
スイフトの重量はN-BOXと殆ど変わらないよね。フィアット500も同様。あのAE86なんて更にめっちゃ軽い・・。
でもこれらのコンパクトカー・・軽くて危ないなんていう人、聞いた事が無いw
あと、本当に軽が危険なら、販売比率が爆発的に伸びた後、死亡者数も比例して伸びないとおかしいよね。。直近だともう4割が軽だからこの辺のデータはどうなのかな?
加えて、記事の試験は、インサイトとぶつけているから、JNCAPの想定を遥かに上回る内容で、想定外であるEUROCAP並みの条件になる。ある意味これは評価すべきだと思うけど、これを試験だからとか軽いからってだけで門前払いすのもどうかと思うわ。。少なくとも自動車アセスメントの有用性は世界で認められている。。
本当に車好きなら、もっと別の視点も交えて評価して欲しい。例えばあのクソのようなブレーキね。。明らかに容量不足で軽に乗る度マジで恐怖を覚える。。
辛口系おやじ(管理人)です。
おっしゃる通り、重量の話であれば、軽並みに軽いコンパクトカーはありますね。
なので、「軽いコンパクトカーも同様に批判しないと」というのは、確かにそうだと思います。
ただ、コンパクトカーに関しては車種によりけりな部分があると思うんです。
ビーエム乗りさんが例に挙げられたようなフィアット500なんて、ほぼ軽に近いと思います。(^o^;
スズキのソリオとか、あの手の箱型コンパクトカーも、私的には軽と変わらないと思っています。
でもコンパクトカーの場合、軽と比べるとクラッシャブルゾーンで有利な場合が多く、軽並みに重量が軽くても衝撃を吸収するという部分で軽より有利なクルマが多いんですよね。
なので、コンパクトカーに関しては、その軽さが軽と同様の危険性に直結するかどうかについては、車種ごとに指摘するべきかなと感じるわけです。
でも、軽は例外がない。(^o^;
どうしても規定の寸法が厳しいので、衝撃を吸収するためのスペースが少ない。
その少ない衝撃吸収スペースでも生存スペースを確保しようとするので、軽さが衝撃に直結してしまう。
なので、軽の危険性は一括りで語りやすいため、記事で書かせて頂いた次第です。
逆に言うと、コンパクトカーは車種によりけりなので一括りで語りにくいため、危険性について責められにくい。
でも、軽並みに危ないコンパクトカーは確かに存在する、そう思います。(^^;
あと、軽のブレーキに関してですが、昭和末期の軽で恐い思いをした私としては、逆に「今の軽のブレーキは随分とよく効くようになったなぁ」と思ってたりします。(^o^;