【試乗記 番外編】 日産 ティアナ 350JM

 2003年、日産「ローレル」「セフィーロ」の廃止に伴い、それらを統合した後継車種として登場した「ティアナ」

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 当時を思い返せば、

「元々イメージの異なるキャラクターのローレルとセフィーロを統合」

という時点で、ティアナ誕生の経緯には無理があった。

実際、初代ティアナはローレルっぽくもなければセフィーロっぽくもなかった。

そして、両者のイメージが混じってるわけでもなかった。

と私は思っている。(^_^;

 そんな、無理のある経緯で誕生した初代ティアナだったが、実はこれが、発売当初に私が試乗して高評価をつけたという、なかなかよく出来たクルマだったのである。

 しかし、

その後、2代目、3代目と代を重ねるも、初代のインパクトや存在感を上回ることはなかった。

そして、昨日の記事にも書いた通り、ティアナにも販売終了(廃止)の危機が迫っているという。(-_-)

 本当にティアナがもうすぐ販売終了(廃止)となるのかどうか、昨日の記事にも書いた通り、ディーラーに聞いても事実確認が取れない状況ではあるのだが、日産の現状を見る限り販売終了となる可能性は高いだろう。

そこで!

現行ティアナはともかくとして、初代ティアナの功績を称えるべく、初代ティアナの

「試乗記 番外編」

をお届けしようと思う。

 この「試乗記 番外編」は、私が2003年に試乗した際に書いた試乗記だ。

改行等の調整はしているものの、

内容は原文そのままである。

なので、いま読むと時代を感じさせる部分が随所にあったりするし、インプレッションの踏み込みも今と比べると浅いのだが、あえて内容の加筆や修正はしていない

当時の雰囲気をそのまま感じ取って頂き、偉大なる「初代ティアナ」に思いを馳せてもらえれば幸いである。

ただし!

各項目の★の数に関しては、現在の基準に換算して付け直している

当時の初代ティアナがどの程度のクルマだったのか、イメージしてもらいやすくするためだ。

でも総評だけは、今の基準で考えたら1つ★に決まっているため、無評価とした。

なお、当時の「総評」の評価は4つ★で、それ以外の項目でも「2つ★」や「1つ★」の評価は1つも無かったことだけは付け加えておこう。

 では以下、初代ティアナの試乗インプレッション、興味のある方はどうぞご覧下さい。

試乗車の概要

年式 2003年式
車名 ティアナ
グレード 350JM
駆動方式 FF
トランスミッション CVT
排気量 3.5リッター(自然吸気)
最高出力 231ps/5600rpm
最大トルク 34.0kgf・m/2800rpm
車両重量 1520kg
車両本体価格 319万円(税抜)
試乗日 2003年2月22日

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 まずはティアナについて。

ティアナは、生産終了となったローレルとセフィーロの後継車種として登場した新規車種。

ニッサンの話では、ローレルの持つ長所とセフィーロの持つ長所を併せ持たせることに重きを置いて開発されたクルマとのこと。

さて、そのもくろみは成功しているのか、早速試乗してみた。

試乗インプレッション

【動力性能】・・・★★★☆☆

 さすがに3.5リッターあると余裕がある。

パワー的には231psと、排気量の割りには控えめな感じだが、恐らく排ガス基準で3つ星を獲得するために、ある程度影響を受けているのだろう。

しかし、より低回転域でのトルクを重視した味付けで、実用速度域でのレスポンスが非常にいい。

さらにはミッションがCVT(無段階変速)なので、変速ショックも全く無く、軽快に加速してくれる。

40キロ以下の速度でのアクセルフィーリングはそれほど特筆すべきものはないが、それ以上の速度になると際立って軽快さが増し、かなり余裕の感触。

【乗り心地】・・・★★☆☆☆

 まぁトータル的には良い。俺のセドリックよりは若干硬いかな、といったところ。

そこそこ重厚感の感じられる感触で、悪くない。しかし俺の好みを言わせてもらえばもう少しソフトにゆったりとしたダンピングの方がいいなぁという感じ。

でも、多くの人はこれよりもヤワいと「フワフワしすぎ」と嫌うかもね。

そういう意味ではきわどいところをついたセッティングかもしれない。

【居住性】・・・★★★☆☆

 後席のヒザ元はなかなか広い。

少なくとも俺のセドリック(Y34)よりは広い。

後席の足元は、足先が前席シートの下に入るようにシートの底がカットされているため、これもまたゆとりを生んでいる。

頭上のクリアランスも充分確保されており、窮屈な感じは全く無かった。

【静粛性】・・・★★☆☆☆

 エンジン音は、低速時の加速の際には多少大きく感じるものの、総じて静か。

だが、回転数の割りには音が大きいように感じた。

 ロードノイズはなかなかよく抑えられているように感じた。試乗で通った道がたまたま良かっただけかもしれないので、断言はできないが。

 総合的に言うと、エンジン音の遮音・吸音に関してはもうひと頑張りしてくれるとありがたかったのに、って感じ。

聴こえるエンジン音も、3.5リッターの割りにはチープな感じに思うので、そこがちょっと残念。しかしながら、安定走行時には全く気になるレベルではないので、クルマの値段を考えるとまぁこんなもんかな。

【内装質感】・・・★★☆☆☆

 さすがは日産車、相変わらず高級感は無い。このクルマのインテリアにおけるコンセプト、「モダンリビング」という観点でいけば、まぁこれはこれでアリかなという感じ。

ってゆーか、うまい方向に逃げたな、と言った方がいいかもね。

 今回試乗したモデルは最高グレードであり、シートにはパールスエードという材質が使用されている。

そう、スエードと言うと、あの少しザラッとした感触のあのスエードのこと。

これがなかなか斬新で、質感もそこそこ上等な感じで良い。

 木目の使い方がこれまた斬新。特にシフト周りにビッチリと敷き詰められた木目がなんともいい感じ。

これまでの木目の使い方とは明らかに異なる試みがなされている。

 インパネのスイッチ類あたりは、サイドのメタルに助けられてプラスチックの安っぽさを多少ごまかしている。

しかし、このクラスのクルマなら、もうちょっと上質感のある造りにして欲しかった。

トヨタとどこが違うのかなぁ、どことハッキリは言えないのだが、なぜかパッと見た感じで質感が違うんだよね。

まぁでも、これも「モダンリビング」というコンセプトのもと、許される領域かと。

 ヤバいと思ったのはセンターコンソールボックス。

運転席と助手席の間にある小物入れ兼ヒジ置きのこと。

2段式になっているのは最近ではよくあるお決まりのパターンだが、これが納得のいかない出来栄え。

下の段は深さはあるがいびつな大きさ。

上の段は底が浅すぎんじゃない?って感じ。

ハンズフリー通話時にはそこに携帯を入れることになるので、まさに携帯を入れるためだけのスペース?

とにかく、結局は実質的な収納スペースがあまり無い。

その上、バリバリのプラスチックで安っぽさ抜群。

車格を考えたら、もうちょっとマシな感じにできなかったのかと言いたい。

 さらにヤバいと思ったのはステアリング、この形はヤバすぎるでしょう。

まるで20年前の車みたいなデザイン。

「モダンリビング」を提唱しながら、ここだけがなぜかレトロな雰囲気でアンバランス。

【装備】・・・★★☆☆☆

 値段の割りには装備は充実している。

俺の感覚で言うと、3.5リッターという排気量でこれだけの装備があれば、300万円台の後半はいくだろうって感じかな。

基本的な装備は一通り揃っているが、斬新なものやちょっと贅沢系の装備を以下に示す。

 ・助手席パワーオットマン機構
 ・助手席パワーシート
 ・後席エアコン吹出口
 ・VDC(横滑り制御)

 パワーオットマン機構は実に斬新。

このオットマンは太ももからふくらはぎにかかる部分を支えるもので、これが助手席に装備されている。

ちょっと使ってみたが、俺くらいの身長(180cm)だと、少しストロークが短い感じはするものの、無いよりは確実にくつろげるもので、シートを倒せば脚を伸ばして寝られる。

 助手席パワーシート、通常ならもう少し上級のクルマでないと装備してないことが多かったが、こいつは標準で装備してきた。

やっぱパワーシートの方が調節しやすいし、同乗者にとってはありがたいでしょう。

皆さんも経験あるでしょ、前後の調節をしてるときにクルマが発進して、シートを前に引きたいのに後に下がってもうたこととか。(^^;

 後席のエアコン吹出口も、結構上級のクルマでないと装備してないことが多かったと思うが、これも標準装備。

さすがに後席でエアコンのコントロールは出来ないが、吹出口があるだけでも後席の快適性は格段に違ってくるでしょう。

 VDCは、トヨタではVSC、ホンダではVSAと呼ばれる装備に含まれるもので、車体の横滑りをコントロールする安全装備。

これも通常は上級車種にしか装備されてないことが多い。まぁこの装備のお世話になることがあってはいかんのだが。

【カーステ音質】・・・★★☆☆☆

 イマイチだが、標準装備のカーステとしてはまぁこんなもん、まだマシな部類かも。

特に悪い点を指摘できるほど聴く時間もなかったが、ホンダのプレミアムサウンドシステムより悪いことは間違いない。

他の装備から考えると、ちょっとカーステは手抜きかな。

トヨタ、ニッサン、ホンダの3社で言えば、ニッサンは間違いなくカーステに関しては最下位だ。

【総評】・・・-----

 ズバリ、これはお買い得だ。

走りも装備も俺の基準をクリアしている。

2つ★評価が1つも無い、まさにどこをとっても平均点かそれ以上に達しているところが実に素晴らしい。

それでいてこの価格。

俺が今のクルマを買い替える頃(2004年3月)には、ある程度の値引きも期待できるとのことで、有力候補の1台であることは確実。

 ちなみに、ティアナの売れ筋グレードは2.3リッターのモデルになるかと思うが、買うなら絶対に3.5リッターモデル、それも350JMでなければ意味が無い。
(350JKというのもあるが、かなり装備が落ちる)

2.3リッターのモデルには試乗していないが、2.3リッターモデルはパワーが173ps、トルクが22.9kg・mと、3.5リッターモデルに比べると格段にパフォーマンスが落ちる。

さらには、ミッションも4速ATになるなど、走りの点でかなり差が出ることは想像にたやすい。

 よく一番安いモデルが「お買い得モデル」などと称されているケースを見かけるが、このクルマに限って言えば一番安いモデルは確実に「お買い損モデル」だ。

逆に、お買い得モデルと呼べるのは350JMだけ、とも言える。

購入を考えてる人がいたら、必ず350JMを買うこと!

はした金をケチッて下位モデルを買うと、結局は後悔することになるだろう。

いや、確実に後悔する。




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コメント

  1. フーガ370GT最速 より:

    フーガ450gtよろしく

  2. 匿名 より:

    レクサスLC500よろしく

  3. 匿名 より:

    この型のティアナは地味にまだ走ってますよねー
    昔c35に乗ってましたが、割とローレルっぽい要素はあるなと思った気がしますねぇ
    ただやっぱりRBでもFRでもなく、見た目も丸っこくなっちゃったのが嫌でした
    今ならこういうの乗るのも悪くなかったかな、とは思わなくもないですが(笑)

    • 辛口系おやじ より:

      辛口系おやじ(管理人)です。

      はい、このティアナ、ちょいちょい走ってるの見かけますね。

      振り返ってみると「結局、初代が一番よかった」と思うクルマはけっこう多いですけど、ティアナもその1つだと思います。

      あと、ホンダで言えば、私的には「インスパイア」もそうですね。(^_^)

       
      C35ローレルにお乗りだったんですか。

      ローレルに関しては、私的にはC32とC33が好きでした。
      走ってるのを見かけては、よく目で追ってましたね。(^^;

      ティアナにローレルっぽい要素があると感じられたとのこと。
      C35あたりとの比較になると、近い要素もあったのかもしれませんね。

      まぁ少なくともセフィーロっぽさは皆無だったので、どちらかと言えば「ローレル寄り」ということだけは間違いないでしょうね。(^o^)

  4. マグカップ より:

    ヤリスとフィットの試乗記はどうですか。試乗しなくても、エクステリアやインテリアだけでもコメントしていただきたいです。

    • 辛口系おやじ より:

      辛口系おやじ(管理人)です。

      ご要望ありがとうございます。

      すでに記事をアップしたので、ご覧頂くと分かると思いますが、残念ながら新型フィットと新型ヤリスには全く興味がありません。(^o^;

      記事の中で、軽くエクステリアとインテリアにもコメントしましたが、まぁ実物を見てのコメントではないですし、踏み込んだコメントでもないので、何ら参考にならず申し訳ないです。(^^;

      かと言って、ブログの記事を書くためだけに、ディーラーを訪れて展示車を眺めたり乗り込んでみたりするのはディーラーに悪いですし、そういうことはしないでおこうと思っています。

      実際に見て、それによって良いコメント、良い記事を書くのならディーラーやメーカーにとっても迷惑にはならないからアリでしょうけど、どうせろくなコメントにならないことは最初からほぼ分かりきってるだけにね。(^o^;