トヨタのスマートシティ構想と自動運転

 先日、トヨタが実証都市「コネクティッドシティ」のプロジェクト概要を発表した。

 あらゆるモノやサービスがつながるというコネクティッドシティ。

トヨタはその都市を「Woven City」(ウーブンシティ)と名付け、2020年末に閉鎖予定となっている東富士工場(静岡県裾野市)の跡地を利用して建設し、将来的には約70.8万平方メートル規模まで街づくりを進めるという。

 と言われても、どれくらいの広さの街になるのか、分かりにくいね。(^_^;

 まず、東富士工場の広さが26万平方メートル。

これは東京ドームで言うと約5.6個分の広さに相当する。

そして将来的に目指す規模、約70.8万平方メートルというのは、東京ドームで言うと約15個分の広さに相当する。

(参考)
●関係会社(トヨタ100%出資会社)-トヨタ自動車東日本株式会社
https://www.toyota.co.jp/jpn/company/history/75years/data/automotive_business/production/production/japan/general_status/toyota_motor_east_japan.html

●面積の単位を変換するサービス
http://tanihenkan.info/

 ちなみに着工は2021年初頭というから、なかなか仕事が早い。(^o^)

 いわゆる「スマートシティ」と呼ばれる構想のトヨタ版といったところだが、街づくりとなると、トヨタのようなクルマ屋だけで進められる話ではない。

なんせその街を形成するあらゆるものが情報でつながる、それがスマートシティなのだから、クルマ屋だけでなく、他分野の企業との連携がどうしても必要となる。

 だが、私として興味があるのは、スマートシティの中でクルマの存在がどう変わり、そこにクルマの未来像を見ることが出来るのか、というところ。

関心はその1点に尽きると言ってもいい。

というのも、クルマ以外のモノのコネクティッドって、容易に想像できるというか、やる気になって企業間で協力し合えば、アイデアしだいでどうにでも便利にできると思うのだが、クルマだけは別だから。

 クルマの未来像と言えば「完全自動運転」

だが、そこに辿り着くまでのプロセスというのが、私にはどうにも容易に想像できないのだ。(-_-)

だが、今回トヨタが発表したスマートシティ構想は、クルマが完全自動運転に向かうプロセスの一部を見せてくれているように思う。

 というわけで、今回の記事では、トヨタのスマートシティ構想に見る、自動運転の未来。

これについて、私が感じたこと思ったことを語らせて頂こうと思う。

まぁ言ってみれば、ただのおっさんの妄想に近い話なので、あまり真剣に読まずに、軽く読み流して頂ければよろしいかと。(^^;

1.一般の公道での完全自動運転の実現は無理!

 私は前々から、

「メディアは自動運転の実現がもうすぐそこまで来ているかのような口ぶりで自動運転に関する特集やニュースを流しているが、一般の公道を完全に自動運転で走れるようになるなんて、絶対に当分の間は無理!」

と言ってきた。

その考えは今も全く変わっていない。

 自動運転にもレベル、段階があることは皆さんもご存知だろう。

私が「自動運転」と認めるのは「レベル5」のみ。

つまり、運転に人の介入を必要とせず、どんな場所の道路でも完全に自動で運転が可能なレベル。

恐らく、世の中の人々がイメージしている「自動運転」も、そういうレベルなのではないだろうか?

家の前でクルマに乗り込んで、目的地を設定すればそこまで自動で連れて行ってくれる、みたいな。(^o^)

でも断言します。

無理です、出来っこないです。

 もちろん、世の中は変わっていくし、技術も進歩する。

なので、未来永劫「無理」と言うつもりはない。

ただ、あまりにもハードルが高すぎるのだ。

 仮に、実験レベルの自動運転車を、そこらじゅうの公道でガンガン走らせて、いくらでも事故を起こしていいのなら実現も早まるだろう。

事故になる状況をどんどんAIが学習していくので。

 でも現実にはそうはいかない。

よほど人の命を軽視した法律でも作らない限り、そんなムチャな実験はできない。

 あまりにも不確定要素が多すぎる一般の公道を走らせる限り、もし自動運転中だとしても、人が常に注意して周りの状況を把握し、危険な状況でも自動運転が回避しそうにない場合はすぐさま人が回避操作をしなければならない。

せいぜいそんなレベルの自動運転ぐらいしか実現できないだろう。(-_-)

 これは私の勝手な推測だが、「あらゆる道での完全自動運転」を安全に実現するには、

あらゆる道を自動運転対応用の道につくり直す

しかないと思っている。

2.完全自動運転を可能にするスマートシティ

 しかし、今回のトヨタのスマートシティ構想のように、一から街をつくるとなれば話は別だ。

最初から自動運転車が走ることを前提としたインフラ整備が可能だからだ。

こうなると完全自動運転の難易度は格段に低くなる。

一般の公道を自動運転で走らせる難易度と比べれば天と地、いや、それ以上の難易度の差がある。

 逆に言うと、運転に人の介入を必要としない自動運転を実現しようと思ったら、現実的にはスマートシティのような地域限定、すなわち「レベル4」の自動運転しか無理だと思う。

 しかもトヨタは、今回発表したコネクティッドシティ「Woven City」の道を、下記の3つに分類すると発表している。

  • スピードが速い車両専用の道として、「e-Palette」など、完全自動運転かつゼロエミッションのモビリティのみが走行する道
  • 歩行者とスピードが遅いパーソナルモビリティが共存するプロムナードのような道
  • 歩行者専用の公園内歩道のような道

(参考)
トヨタ、「コネクティッド・シティ」プロジェクトをCESで発表
https://global.toyota/jp/newsroom/corporate/31170943.html

 ここまでしっかりと分けるのであれば、それこそ完全自動運転はすぐにでも実現可能なはずだ。

 完全自動運転を実現する上で、結局何が難しいのかと言えば、いろんな状況に柔軟に対応しないといけない、というところだろう。

でも、スマートシティの限定された道であれば、道は完全に把握できているわけだし、道を車両専用にすることによって、いろんな不確定要素を排除できる。

インフラと車両を通信させることで、より安全に、より複雑な車両コントロールも可能だろう。

3.完全自動運転「レベル5」への道

 トヨタが発表したコネクティッドシティ「Woven City」の面積は、冒頭で述べた通り将来的には約70.8万平方メートル(東京ドーム約15個分)の規模となるわけだが、広いと言えば広いけど、狭いと言えば狭い。(^_^;

でも、結局これが、完全自動運転に向かう道の答えかな、とも思うのだ。

 つまり、運転に人の介入を必要としない完全自動運転車を、いきなり一般の公道で走らせるのは難しい、というか無理。

でも、まずはスマートシティをつくって、その中で完全自動運転車に出来ることのレベルを高めて熟成させていく。

そしたら、今度はそれ(スマートシティ)をいくつも増やしていく。

そして点在するスマートシティ同士をつなげていく、というプロセスをふめば、実質的に「レベル5」の完全自動運転が実現すると言えるんじゃないかと。

 まぁ言ってみれば、ほとんど人が住んでないところまで完全自動運転で走れるようにする必要性はあまり無いわけですよ。(^o^)

それより、人が集中しているところを中心にスマートシティ化していくほうが、実質的に完全自動運転社会の実現が早まるはずだ。

そのスマートシティ化を進めるためのベースとなる技術を、研究・実証する場として、トヨタの「Woven City」を存分に利用するわけだ。(^_^)

4.道は見えた気がするが・・・

 というわけで、今回のトヨタのスマートシティ計画によって、何となく完全自動運転社会の実現に向けての道が見えた気がする。(私の勝手な妄想だが)

だが、それにしてもやはり時間のかかる話であることは確かだろう。

 トヨタの「Woven City」は一から街をつくるので、比較的容易に、かつスピーディーに、完全自動運転が当たり前のように生活に溶け込んだ世界を実現できるだろう。

しかし、

既存の街をスマートシティ化するのは大変だ。(^_^;

かなり地道にコツコツと進めていくしかない気がする。

なにしろインフラを整備するにも、既存の住宅すべてそのままというわけにはいかないので、土地の権利問題も含め、なかなかスムーズに進めることはできないだろう。

国がどこまで本気になるかにもよるかな。(^o^;

莫大な金のかかる話だけに、かなりの長期戦になるとは思うけど。(^^;

 まぁそんなわけで、私に見える近未来としては、地域限定の完全自動運転車が走るスマートシティが、ポツポツと点在する世の中、という感じかな。

私が生きている間に、「地域限定」という条件が外れた完全自動運転車が走る世の中がやってくるだろうか?

あまり期待せずに見守っていこうと思う、、、が・・・。

あれ?

何かが足りないぞ。

トヨタは言っていたはずだ。

「必ず残るクルマは、Fun to Driveですよ」

と。

しかし今のところ、「コネクティッド・シティ」プロジェクトの構想の中に、「Fun to Drive」は見えてこない。(-_-)

この構想の中で、どうやって「Fun to Drive」の新しいあり方を見せてくれるのか

そこもまた注目、いや、そこにこそ注目したいですね。(^_^)




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コメント

  1. 匿名 より:

    台風で壊れた所があちこち放置されたままなのにそんな大掛かりなインフラ整備なんてできるんかいなという気はするけど、いざやるとなったらやっちゃうんだろうか。
    でも考えようによっちゃ、あちこちガタが来ている今だからこそ今度は計画的に最新の技術でインフラを整備するってのもアリなのかもしれない。
    しかし前にも言ったことあるけどやっぱ電車の完全自動化の方が先じゃないかな。
    電車でできないなら自動車でなんて絶対無理な気がする。

    • 辛口系おやじ より:

      辛口系おやじ(管理人)です。

      はい、いざとなったら、というか、ヤル気になったらやっちゃうのでしょう。

      放置されたままなのは、人手不足とかの理由はもちろんあるでしょうけど、まぁ悪く言えば、そこまで緊急性がないので本気で直す気がないだけだと思います。

      何でもそうですが、本気になるかどうか、お金をかける気があるかどうかで、物事の進み方(優先度も含めて)は全然変わりますから。(^_^;

       

      電車の完全自動化については、おっしゃる通り、クルマの自動運転と比べれば難易度はかなり低いはずなので、やろうと思えばできるはずなんですけどね。

      一部の路線ではかなり前から無人運転は実現してるのに、意外と広がらないモンですよね。(^_^;

      まぁそこは、「安全の確保」を盾にして運転士の雇用を守るとか、なかなか積極的に自動化に踏み切れない事情があるのかもしれません。(^o^;

  2. 通りすがり より:

    あれじゃないですか、自動運転車でトロトロ走らせながら、脳内にVRでイニシャルD的な映像をブチ込むという攻殻機動隊的な「Fun To Drive」。
    ヴァーチャルAV的な?

    • 辛口系おやじ より:

      辛口系おやじ(管理人)です。

      VRで「Fun To Drive」。(^o^)

      でも、そこまでイッちゃったら、実際にトロトロ走らせる必要もないというか、もはやクルマ自体も不要ですよね。

      ゲーセンのゲームをちょっとリアルにつくればいいぐらいで。(^o^;

      まぁそこは、今のVRの技術レベルでは単なる笑い話かもしれませんが、VRの技術がもっとスゴいところまでいったら、本当にクルマの模型をつくるだけでよくなる可能性もありますよね。

      見た目だけ本物と全く質感の変わらないクルマの模型をつくって、それに乗り込んで運転操作することにより、フロントガラス、ドアガラス、リヤガラス、ドアミラー、ルームミラーに、本物の景色が実際の走行時と変わりない感じで映し出されるのだとしたら、まさに本当に走ってるような感覚になれるかもしれません。(^o^)

      もちろん、実際に走らせてるのと同じようなステアフィールやエンジン音、路面の荒れ具合をもリアルに再現して振動として伝えてきたりすれば、本当にVRで「Fun To Drive」が可能かも。(^o^)

      おっしゃるように、目が見ている景色は脳で映像化されているわけですから、脳科学が進歩すれば、目隠しして脳内に直接VRの視覚刺激をブチ込むことにより、任意の景色を仮想的に見せることも出来るかもしれませんね。(^o^)

      まぁでも、実際にクルマを運転してるのと全く変わらないような体感をVRで体験できるようになるとしても、それはまだまだ遥かに先の未来の話になるとは思いますが。(^^;